エディトリアルデザインの最高峰

2月 14, 2009 · Posted in 日々雑記 

ageha1このブログを読んでくれとる人の中で、雑誌『小悪魔ageha』の読者はどれぐらいいるだろうか。
紙質の良い、オシャレなデザイン雑誌を訳知り顔で読んでおる場合ではない。
『小悪魔ageha』は、平たく言えば大阪ミナミの宗右衛門町あたりのキャバ嬢をはじめとする、いわゆるウォータービジネス系女子に絶大な支持を誇る雑誌で、その分野限定的な特殊メイクやファッションなど、彼女たちの日々の武器ともいえる「見た目」の手本になっているだけでなく、ライフスタイル、さらには思想においても、毎号強烈なアティチュードを提示し続けている。
そのキラキラのひたすら読みづらいデコ文字、2次元と3次元の中間調を醸し出す、レタッチにもほどがあるモデル写真、そして特集は、「かぶせのアップ」、「スジ入りMIX巻の滝流し」、「夜職の浴衣デーはお姫様か花魁が人気」など、門外漢にはにわかに意味の分からない専門用語が並ぶ。
中には、「普通の花火大会は、普通の浴衣が人気です」と、「・・・なんでこれを表紙にデカデカと書く必要があるんや!?」という価値逆転のキャッチコピー躍っていたりして、その閉鎖的なシーンの「逆に」感が見てとれる。
特集以外も、シングルママの座談会「シンママ同盟」や、「姉御がマジメに答える、お悩み相談」など、オリジナリティ溢れすぎのコンテンツで、とくに「お悩み相談」では、「Q:夜中にタバコが切れちゃった。どうしよう?」との読者ギャル(a.k.a 『age嬢』)からの「真剣な悩み」に、「A:エアコンの上に、一箱隠しておくといいよ」と、バイト先の昼休みのようなQ&Aが、わざわざ画像付き(エアコンの上にタバコの箱が少し見切れている写真)で紹介されていたりと、毎回ド肝を抜かれる企画が目白押しである。
そんな、キャバ嬢たちを煽動し続けてきた雑誌『小悪魔ageha』であるが、昨夏あたりからその様相は「見た目」から「内面」へと移行していく。
当初の巻頭特集は、「巻き髪!デカ目!」や「細く!細く!!細く!!!とにかく細く!!!」など、あくまで見た目にこだわっていたのに対し、最近の特集は「病んだっていいじゃない」、「私たちの黒い闇」といった、キャバ嬢たちの心の深淵をえぐり出すような内容で、彼氏のDVや幼少期のトラウマに苦しむ女子たちの体験談がズラリと列挙されている。しかしレイアウトは、あくまでもキラキラでモヤモヤでピカピカのままである。
そして今号にいたっては、「生まれたときから日本はこんな感じで、今さら不況だからどうとか言われてもよくわからない」というキャッチコピー(長っが!)が、表紙に大書されているのだ。
こんな先鋭的な雑誌が、普通のコンビニの書棚に並んでいること自体が、まったくミラクルである。
世界のエディトリアルデザインの中でも、この『小悪魔ageha』は、先鋭的という意味では最右翼に位置するだろう。
その独自性と、レベルメーターの振り切り方においては、VOGUEもFIGAROも『小悪魔ageha』の前では霞んでしまうのである。
今や世界にプレゼンテーションできる、日本独自の土着文化は、「ヴィジュアル系(およびホスト系)」と、この「キャバ嬢文化」ぐらいではないか。
そして今号、『小悪魔ageha』誌面において、驚愕の見開きを見つけてしまった・・・。
これである。

ageha2

・・・すごすぎ。
まるで、ブルー・オイスター・カルトのアルバム「呪われた炎」を彷彿させる誌面。
これは『小悪魔ageha』の終極か、あらたな位相へのマイルストーンか。
まだまだ注目の雑誌である。
コンビニで一回、立ち読みでもしてください。
なかなかの圧巻です。
※下の写真は、元ネタ(と、勝手に僕が思っている)ブルー・オイスター・カルト「呪われた炎」

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Comments

9 Responses to “エディトリアルデザインの最高峰”

  1. muranaka on 2月 14th, 2009 6:44 AM

    この雑誌、前から気になってはいたんですが、・・・・立ち読みすらも躊躇してしまう自分がいます。
    いや、今度勇気を出して読んでみます。

  2. あらじん on 2月 14th, 2009 9:31 AM

    うお!これスゴイ!!
    あ、お久しぶりです。
    普通には手に取ろうと思わないけど、立ち読みをすっ飛ばして手元に置いときたいと思った。

  3. 宇宙の羊 on 2月 14th, 2009 9:46 AM

    よく読みます(笑)。
    ここ1年ぐらい「闇」を押してますよね。
    「病みから闇へ」とか…。
    めちゃくちゃ売れてて、
    このご時世に満広、
    新規の出稿お断り、だそうです。

  4. あや on 2月 14th, 2009 5:45 PM

    ウォータービジネス経験はありませんが、私10代はギャルでしたので何となく理解できます。
    そして経験したことは誇りに思えます 笑

  5. ひぐ on 2月 15th, 2009 9:27 PM

    これは・・スゴいね。
    『小悪魔ageha』を批評できて、買うかどうかは別として見て(読んで)みたい!って思わせてしまうあなたもスゴいけど(笑)

  6. spdmtr. on 2月 20th, 2009 2:16 AM

    >muranaka
    ある意味で、エロ本の立ち読みのほうが恥ずかしくないかもしれませんが、勇気を出してぜひ。
    >あらじん
    元気?
    これは、ハッキリ言って「買い」です(笑)
    >宇宙の羊
    このご時世に?満広?
    値下げせんでも、結構埋まるらしいですね。
    見出しの「不況だからどうとか〜」は、そういう意味やったんかも。
    >あや
    ギャル的な思考のロジックが脳内のどこかにある、っちゅーことですね。
    それは、誇りに思ってください(笑)
    >ひぐ
    生きとるか!?
    とにかく、今日本で一番刺激的な編集がココにあるのは間違いないで。
    こんなメチャクチャな雑誌が、バカ売れしてるという状況も含めて。

  7. ひぐ on 2月 20th, 2009 11:10 AM

    少し生き返りました。
    連絡するね。
    小悪魔ageha、買いかぁ〜(笑)

  8. sk on 2月 24th, 2009 1:19 PM

    spdmtrさん。はじめまして。
    小悪魔agehaと同じ大陸にいながらも対極に位置する雑誌として、ご存知だとは思いますが「Men’s-Knucle(http://www.mensknuckle.jp/main.php)」がありますよね。洒落を超えて、もはや狂気すら感じさせる夥しい数のキャッチコピー群には思わず感服する次第の一冊です。
    エディトリアルの「小悪魔ageha」
    キャッチコピーの「Men’s-knuckl」
    この2冊を読めばある種、高度なセンスがもしかして磨かれるのではないかしら、といった180度間違っている誤解をもさせてしまう雑誌。これからが楽しみです(という誤解)。

  9. spdmtr. on 2月 26th, 2009 5:06 PM

    >sk
    skさん、コメントありがとうございます。
    「Men’s-Knucle」の言語感覚、「小悪魔ageha」の編集センス、どちらも日本古来のヤンキー文化にみられる「行き過ぎて、原型が何か分からんようになる」感じをカタチにしたものだと思われます。
    ただ、進化(間違った方向に)すること「のみ」を追求する、そのエネルギーが素晴らしい。
    あの「Men’s-Knucle」は、ヤクザ雑誌「実話ナックル」から派生したもんなんですかね?

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